![]() 株式会社カレン 経営管理グループ 株式公開準備室長 荒井 孝幸氏 |
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「そろばん」という言葉も文字も最近ほとんど消えてしまったような気がする。 "ほとんど"と書いたが僕の周りの環境からは"完全"に消えてしまった。 ランドセルの脇に少し頭を出した光景。そろばん塾の看板。オフィス等々。 どこへ消えた? そう思いませんか? 通常、計算は論理・分析的な左脳の機能といわれています。学生を対象とした実験から、 平均的には確かに左が主に使われていることを確かめました。ところが、珠算有段者の 暗算中を計測したところ、左側頭をほとんど使わず、右後頭部を主に使っていたのです。 後頭部は視覚野です。その右側が主に使われているということはイメージがくっきりと 浮かび、そのイメージだけで処理しているということでしょう。将棋のプロ棋士の実験 も何例も行ないました。羽生さん、谷川さん始め、みなさん生懸命将棋の手を考え ているときには、やはり同じような脳波のパターンでした。将棋も論理的な思考の内で しょう。でも、その道のプロともなると、左脳でひとつひとつ順を追って、あらゆる手 を確かめてなどいません。 僕らの年代は学校の授業時間も今より多く、市内にはそろばん塾が4つも5つもありました。 友達や兄弟と学校が終わると先ずはおもいっきり遊んで、その後そろばん塾へ。 コミュニケーションの場としても最高の場所でした。例えば、学校でけんかをした友達と そろばん塾で仲直りをする。話し足りなかったことを話す。塾が終わると駄菓子屋で友達と ワイワイ。楽しかった思い出は山ほどあります。ところが最近は、そろばんは役に立たない。 そろばん塾に通っている時間がもったいない。そろばんなんて使わない、学校の成績に関係 ないと"通わせる"親が少ない。 僕は友達に付いていってそのままはまったのがきっかけ。"通わされた"のではなく楽しくて "通いたかった"のです。僕の年代(S41年生)がちょうどそろばん塾に通う子供がいる年代 です。また、僕らの前後5年の年代がそろばん塾全盛期の頃ではないでしょうか。そろばん の良さがわかっている人が沢山いるはずなのになぜかその子供たちの代で衰退してしまう。 これってそろばんだけでなく他にもみられる事象ですね。僕は、リトルリーグ、書道、 アイスホッケー、スイミングスクール、ピアノ、そろばん、そして有名なYO進学教室と7つの 習い事をこなしていました。スーパーサラリーマンならぬスーパー小学生です。5歳の頃から ニコニコしながら「忙しいなぁ。」なんて言っていたような気がします。全部近所の友達に 付いて行ってはまったものです。僕にもできるかな?やってみたいなという動機です。学校も、 遊びも、習い事もすべてベストを尽くしました。それも楽しんで。時間の効率利用を学びました。 当然、算数・数学は得意中の得意でプロセスを書かなくても頭の中で整理・計算ができる。 だから考えなければ解けない問題に自然と時間をさける。これは本当に役に立ちました。 学校でもYO進学教室でも中学受験の時も。 そろばんは、ぺーパーという平面で教えるだけの学習塾とは違って、一桁5つの珠で"量"的側面で 学べるバーチャル教育なのです。今、僕は最初の就職先である日本証券業協会での経験を生かし、 ベンチャー企業という発行会社側で株式公開へ向け、株式公開室長の仕事に就いております。 BS(貸借対照表)、PL(損益計算書)、キャッシュフロー計算書、刻々と推移する市況情報、 他社の株式公開状況とその経営数値は常にチェックしておかなければなりません。それらを 作成するにはパソコンの計算ソフトを使います。電卓を使うこともあります。でもそろばんは 絶対使わないのです。これは仕方のないことです。スピードが求められる時代ですから。 じゃぁそろばん習う必要ないじゃないと思うでしょう。そこが間違いなのです。 20代後半〜30代のそろばん世代が今や、ベンチャー起業家、経営陣の一角を担って活躍しています。 経理担当者が前出の資料を作成しますが、それをもとに彼らは(僕も含め)視覚的に瞬時に経営判断を しなければならないことがあります。これはセンスです。会議の場で電卓をたたくことはなく、 いろいろなシュミレーションを頭の中で行います。それを養ったのがそろばんなのです。 僕の頭の中には数字を見ると瞬時にビジュアルとしてそろばんが浮かびます。指を動かしても暗算は できますが動かさなくても頭の中のそろばんの珠はオートマティックで動き出すのです。また、多様な シュミレーションをするうえで頭の片隅に置いておく必要のある数字がでてきます。これは そろばん・暗算で鍛えぬかれた記憶力が強力に作用するのです。 僕の周りのエグゼクティブや経営者・経営陣の方々はそのほとんどが小学生のときのそろばん経験者で、 皆競技会等にも参加して県のチャンピオンになった人間が多いです。ちなみに僕は、4歳から 6年生までの8年間で2段まで取得しました。通学した国立大学の付属中学は学年の実に7割強が そろばん経験者でした。もちろんそのほとんどが学習塾にも通っていたわけです。 僕も"お受験"組ですから(当時はそんな言い方はなかったし、今ほど過保護ではなかった)否定はしません。 挫折や成功を子供の頃から鍛えられるすばらしい機会のひとつだと思います。 ただし・・・ただしですよ。それで得られた通称"高学歴"をもって皆が成功しているかといえば それはすべてではない。経験というプロセスが大事です。ビジネスマンとして最前線で活躍するための "考える頭の構造"を創ってくれたのが"お勉強"ではなくそれ以前から習っていた"そろばん"だと 僕は自信を持って言えます。 検定に合格するたびに級の合格シールがそろばんの枠に貼られてゆく。この上ない快感なのです。 不合格であれば、また同じ練習を半年先の検定試験まで続けなければいけない。でもそうやって 見つめ直す時間も必要。これって企業の経営に通じるところが多分にあります。右肩上がりの調子の 良いときもあり、最近の大不況の中で喘ぎ苦しむときもある。 良かったときのすべてが適正だとは言えず、その中にも反省すべき点はある。でもそれって、マイナスに 陥ったときにしか往々にして省みることができないものです。 そろばんのように練習によってどんどん技能が身につき、行き詰まったときには、反復練習をする。 こんなプロセスを教えてくれるところって他にありますか? "パチパチ"というあの音も僕にとっては癒しの音です。そろばんのCMもありましたよね。 これは"ねた"ではなく実話ですが、僕はホームや自宅近くの踏み切りで、目の前を通過する列車の 「キハ4065」とか書いてあるあの列車記号?の数字。頭の中でいつも自然と足したり、引いたりしています。 本当に自然です。ついでに動態視力も鍛えられていますが。 それから、僕の職業柄のご紹介ですが http://www.soroban.com覗いて見てください。 そろばんの歴史やそろばんを取り巻く今が見えてきます。僕もそろばんの歴史や産地の 勉強まではしませんでしたので。面白いサイトです。 同世代の僕が言うのも変ですが、お母様方、こんな経験者の話を聞いてもまだ無駄なものだと
お考えですか?ぜひそろばんをお奨めください。指を動かすことが良いとか、科学的に脳に良いとか
言われるお医者様や学者先生もいらっしゃいますが難しくてよくわからなかったりしますよね。
それよりも僕のこの経験談をあなたが子供の頃に少なくとも小学校で学んだそろばんの思い出とともに
お子様に話してあげてください。 |